すべてが白黒に見える全色盲に陥った画家、激しいチックを起こすトゥレット症候群の外科医、「わたしは火星の人類学者のようだ」と漏らす自閉症の動物学者…脳神経科医サックスは、患者たちが抱える脳の病を単なる障害としては見ない。それらは揺るぎないアイデンティティと類まれな創造力の源なのだ。往診=交流を通じて、不可思議な人生を歩む彼らの姿を描か出し、人間存在の可能性を謳った驚きと感動の医学エッセイ。
目次&要約
- 色盲の画家
事故により色盲になりモノクロの世界を彷徨う画家。画家としての絶望感を味わうも、やがて新しいアイデンテティを確立しニュースタイルタイルの画家として活路を見出す。
- 最後のヒッピー
現在と60年代にしか生きられない人。
脳腫瘍の摘除手術により、これまでの攻撃的な性格から柔和で明るい性格に変わったが、記憶障害になる。 - トゥレット症候群の外科医
トゥレット障害 - 「見えて」いても「見えない」
これまで盲人として暮らしてきた老年の婦人が奇跡的に視力を回復する。
現実は幸せではなく、むしろ辛く苦しい状況に追い込まれる。新しい自分との戦い。 - 夢の風景
側頭葉癇癪(てんかん)により、過去の鮮明で詳細な記憶を持つ画家。
かつて自分が暮らした街の風景を記憶だけで正確に描く。
- 神童たち
自閉症(イディオ・サヴァン)の特徴的な能力。
- 火星の人類学者