エッセイ

【田尾親方のゴタク選】今どきのもの!

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言葉の乱れ、といいますか、言葉の変化は、古(いしえ)の時代から、連綿と続いているものでございます。

近頃の若い人の言葉はさっぱりわけがわからん!
今どきの若いモンは、言葉が乱れてる、困ったもんだなあ……

なあんて嘆いてる、ホントはろくに日本語も知らなかったりするジジイがいたりする(俺のことだよ)

俺の若い時分も、近頃の若い衆(ワカイシ)は……なんてジジイやババアに後ろ指をさされてたもんだよ。

そんな往年の若いモンが、ジジイの年頃になるってえと、不思議なことに「今どきの若者は……」

なんて、つい言葉にでっちゃうんだよなあ。

古典を読んでみるってえと、ずいぶんと昔ッから、「今どきのものは……はぁ(ため息)」なんて嘆いているんだよ。

そんなことをずっと、ずぅ~~と言い続けているんだから、いとをかし!

日本語言葉の乱れは、今に始まったワケではない
徒然草・第22段 何事も古き世のみぞ慕はしき…より

原文

何事も、古き世のみぞ慕はしき。今様は、無下にいやしくこそなりゆくめれ。
かの木の道の匠の造れる、うつくしき器物も、古代の姿こそをかしと見ゆれ。
文の詞などぞ、昔の反古どもはいみじき。たゞ言ふ言葉も、口をしうこそなりもてゆくなれ。

古は、車もたげよ、火かゝげよとこそ言ひしを、今様の人は、もてあげよ、かきあげよと言ふ。
主殿寮人数立てと言ふべきを、たちあかししろくせよと言ひ、
最勝講の御聴聞所なるをば御講の廬とこそ言ふを、講廬と言ふ。
口をしとぞ、古き人は仰せられし。

読み

なにごとも、ふるきよのみぞしたわしき。いまようは、むげにいやしくこそなりゆくめれ。
かのきのみちのたくみのつくれる、うつくしきうつわものも、こだいのすがたこそおかしとみゆれ。

ふみのことばなどぞ、むかしのほうごどもはいみじき。たゞいうふことのはも、くちおしゅうこそなりもてゆくなれ。
いにしえは、くるまもたげよ、ひかゝげよとこそいいしを、 いまようのひとは、もてあげよ、かきあげよという。
とのもりょう、にんじゅたてというべきを、たちあかししろくせよといい、
さいしょうこうのみちょうもんじょなるをばごこうのろとこそいうを、こうろという。
くちおしとぞ、ふるきひとはおおせられし。

現代語訳・解説

何でも古い時代が心惹かれるものだ。今どきのものはどれもこれも卑俗になってしまっている。
木工の匠が作る美しい器も、伝統的なものが良いと思う。
手紙の言葉も、昔の反故にしたものは素晴らしい。口から出る言葉も昔に較べると情けない感じがする。

昔は「車をもたげよ*1」「火かかげよ*2」と言ったのに、今では「もてあげよ」「かきあげよ」と言う。
「主殿寮、人数立て*3(とものりょう、にんじゅだて)」と言うべきを「たちあかししろくせよ*4」と言い、
最勝講*5(さいしょうこう)の御聴聞所*6(みちょうもんじょ)のことを「御講の廬(ごこうのろ)」と呼ぶのを「講廬(こうろ)」と言う。
これは情けないことだと昔を知る人がおっしゃっていた。

*1:牛車の前に突き出た2本の長い木を持ちあげよ
*2:灯りの芯を掻き立てて明るくせよ
*3:宮中管理担当の者ども、並んで場を照らせ(宮内省に属し、宮中の清掃、灯燭 ・薪炭など火に関すること、行幸時の乗り物、調度の帷帳などのことをつかさどった役人)
*4:松明で照らせ
*5:五月の法会(毎年五月、吉日を選んで五日間、宮中の清涼殿で行われた法会。東大寺・興福寺・延暦寺・園城寺の高僧を召して、金光明最勝王経全十巻を朝夕ニ座、一巻ずつ講じさせて、天下太平・国家安穏を祈った)
*6:天皇が講義を聞く場所

[出典1:http://tsurezure.choice8989.info/main/tsurezure20.html#22]
[出典2:http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~itoyo/tsuredure/turedure000_049/turedure022.htm]

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