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【無能唱元・伝法講義録 007】外的な構造と群居衝動の関係

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外的構造

私たち人間の本能的衝動に「群居衝動」といって、他に人間たちと群居していたいという基本的欲求があります。そして、これがあるために孤独を恐れるのです。特に人間は精神的な孤立を恐れて、そのために外部へ向って、秩序ある団体を求め、その秩序の一部に自分を組みこみ、もっと精神的安定感を得ようとします。これがすなわち「外的構造」です。

その最も顕著な例は、恋に破れた少女が人生に絶望し、神に救いを求めて、修道院へ入るような場合です。

ある人々は、自己の精神的不安定さから逃れるために、構造における秩序を強く求めるものです。しかし、そうするためには、その構造がどのような種類のものであっても良いものではありません。

その共同体の一員となるためには、その構造の有している意味が、その人の趣味性に一致するものでなくてはならないのです。

この意味では、結婚というものも、この外的構造の最小単位の形態であるといっていいかも知れません。すなわち、この男女の結びつきは、趣味性(広義における)の一致をまず前提条件としているからです。

では、これらの群居衝動のとりあつかいについて、次の引用文を参考としてみましょう。

ある人々は二人か三人の親しい友達だけで群居衝動を満足させる。他の人々は地域社会の問題に積極的に参加しなければ満足しない。

群居衝動に当然の考慮を払わないと破局的な結果をきたし得る。自殺未遂事件を調べると、耐えられないほとの孤独あるいは倦怠ということがしばしば動機になっている。孤独は多くの原因からでてくる一つの結果だが、その主たる原因は他の人々と生産的な人間関係をもつことができないところにある。

自分の時間が、意味のない仕事で全部費さなければならなかったり、真の人間形成は役立たない活動で潰されていたりすると、周囲にどんな多勢の人がいても、社公関係の予定がカレンダーいっぱいにあっても、本人はあくまでも孤独である。

また、一人きりでいて、自分の思考と感情だけが相手では孤独感に耐えきれず、気を紛わすためにどうしても周囲にたくさんの人々を近づけておかなくてはすまされぬ人もある。

またそういう人は、倦怠感を避けるために、なにかのめまぐるしい活動を必要とするということもある。自分自身だけを相手にしているのには耐えられないという人は、おそらくは、自分自身をほんとうは好いていないからなのかもしれない。

そしてほんの短時間でもひとりきりになったら、この自分自身を好かないという事実を認めなくてはならないのではないかと恐れ、それとまともに立ち向う勇気がないからなのである。

もしあなたが自分自身に満足していれば、自分の目標、自分の活動に満足していれば、孤独の時間は豊かであり健康的であり得る。われわれはわれわれ自身を知るため、孤独でプライベートな時間が必要である。そしてわれわれの日々の経験を振り返り、われわれが辿っている道を反省してみる時間が必要である。

人間のパーソナリティは、主として、彼の社会的欲求によって決定されるとする心理学の一派があるくらいである。とにかく、人間は自然界でユニークな孤立した地位を占めている。人間は動物一般のもつ本能的衝動はすべてもっている。しかし、理性、自己意識、想像力をもっているのは人間だけである。

そのことから人間は、どうにもやりきれない、気の滅入るような孤独を感じないでいられるためつぎのような、群居衝動の五つの側面をなんらかのかたちで経験する。

①ある集団の一部であると感じるために、他の人間たちと結合したいという欲求。これはもっとも広義の愛とよばれる欲求である。

②なんらかのかたちで創造的な人間でありたいという欲求。もっと効率的なネズミ捕り器を作る、美術品や音楽を創作する、植物を植える等々。

③家庭、永続的な結びつき、安定などへの欲求。それは家族、国民、教会などのうちに見いだされるかもしれない。

④アイデンディティ感への欲求。それはエルクス慈善保護会、ロータリー・クラブ、PTAなど特定グループへの献身によって、あるいは特殊な職業への専念などによって得られる。あるいはそういうこととは別に、独自な自己同一性感情への欲求。

⑤世界観への欲求。これは自分の活動を秩序づけ、目的をもたせるために、首尾一貫した世界の見方と理解をもとめるということである。

人々はこれらの欲求を人間同志で交わりながら満足させる。理想的には、人は他の人々と、各々の個人が彼自身あるいは彼女自身の、一個の人格としての独立性を保つことが許されるような、愛と同胞愛的な人間関係のうちに交わるべきである。

[出典:「ナ・ダーム―あなたの中の不思議な力」L・チェーズ、C・キング著/日本教文社刊]

[出典:唯心円成会伝法講義]

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