無能唱元

【無能唱元・伝法講義録 025】クンバカ呼吸法

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呼吸について

食物をーカ月取らなくても、普通、人間は生きていることは出来ますが、(但し、水だけ
は必要)、空気の方は五分間取り入れないと、死んでしまうことは、よく知られた事実です。それほど、空気は、私たちにとっては必要不可欠なのであります。また、健康を維持するために、この呼吸というものを、いかに考えるかということも非常に重大なのであります。

呼吸と科学文明

科学技術の進んだ現代生活の中で私たちは気がつかないけれども浅い呼吸をしていることが多い。
これが病気の受け皿となり、種々の病気がそこから起こるであろうことは考えられる。呼吸が浅く力の入らない状態が長く続くと肺のガス交換(炭酸ガスを捨て酸索を取り入れる)が低下する。それと同時に血液の流れが悪くなる。そのために六十兆といぅ体細胞のバィタリティが脅かされることになる。呼吸の浅いぐらいと軽視するといつかそのつけが回ってくるかもしれない。人間が健康生活を送るためには絶えず全身の体細胞の生命力を強くすることで、それには正しい呼吸よい呼吸を積み重ねて行く必要がある。同時に調和のとれた食生活も心がけて行きたい。
正しく調和のとれた息と食と体の動き、つまり息・食・動は日常生活に是非実現して行きたいものである。

無意識呼吸の明け暮れ
私どもの日常生活の中で呼吸のことなど考えてみたこともないという人が多い。
生体の連営上、呼吸の重要さはわかっていても、息を止めてみない限り緊迫感といったものを感じない。誰でも呼吸はしているのだが、そのことさえ忘れている。
呼吸という生理作用は呼吸筋による呼吸運動によって賄われている。呼吸筋も骨格筋であるから元来は大脳の運動領というところから命令を出しているのだが、絶えず繰り返さねばならぬ呼吸運動はそのわずらわしさから逃れるために、大脳はその命令を延髄に代行させている。いいかえれば呼吸運動の反射中枢は延髄にあるといぅことになる。

それゆえ延髄に針をさせば、たちまち呼吸が止まって死んでしまう。
延髄は重要な仕事を任せられているわけである。このように通常の呼吸は反射的に行われているので人脳はノータッチということになる。それが無意識呼吸である。通常はこのオートシステムの呼吸で間に合っているので少しぐらい悪い呼吸でも緊迫感といぅものを感じない。
それならばオートシステムの呼吸にばかり任せておいてよいかというと、やはり問題がある。そしてまた延髄に任せた反射呼吸は呼吸のパターンが常に一定しているかというとそうではない。実は種々の情動の影響を受けて猫の眼のよぅに変化する。
つまり無意識呼吸は無風状態の呼吸ばかりではない。嵐も吹けば雨も降る舂日遅々ののんびり呼吸もあるという多彩な呼吸のパターンが展開される。

[出典:「現代人に必要な呼吸法」村木弘昌(雑誌「致知」1982年4月号 竹井出版)]

ここで述べられてあることの結論は、要するに、私たちの健康を維持するには、「無意識呼吸」すなわち、自然的呼吸のみにまかせておいては不可で、これを「意識呼吸」すなわち、人為的に呼吸をコントロールする必要がある、ということです。

では、なぜそれが必要かというと、それは現代文明が、私たちから適正な運動量を奪ってしまったからであります。特に、現代人は、昔の人にくらべ、歩く機会が非常に減少しております。激しい運動をした時、誰れでも経験することですが、呼吸運動は活発となり、多量の空気が肺に出入します。通常、私たちの肺は全部が働いているわけではなく、主として上部の方だけが活動しており、それはそれで、生体維持に十分な活動量なのです。

しかし、これが長くつづくと、肺の下部の方に、すでに使い古された、にごった空気が残留することとなるのです。腸の中には、宿便または古便と呼ばれるものが腸壁に残り、これも一掃することは大切であり、そして、それを行なうものは、すなわち「水」なのですが、肺の場合の残留物は、それを一掃するのは、新鮮な「空気」なのです。

意識的な深呼吸は、この残留した有害なガスを一掃し、全身の細胞に真に回復治療のための力ある「気」を送りとどけるためには必要不可欠なものであり、この点に関しては、当円成会は多年その研究を続けてきたのであります。

そして、およそ、「呼吸法」と名づけられる幾多の方法を、洋の東西を問わず尋ね、実習し、その効果についての考察を重ねてきたのでありますが、そこで、ある困惑すべき事態に直面したのです。

それは、信頼すべき、西洋神秘主義結社または団体に伝わる、「秘儀」とされているものの「呼吸法」と、東洋の精神的医学の「呼吸法」は、そのやり方において、真向から対立する手法を採用していることです。

これはどういうことかといいますと、西洋のそれは「吸気」つまり吸うことを主眼とし、「呼気」つまり吐くことを、そのまま自然にまかせるという手法をとるのに対し、東洋のそれは、「呼気」に重点を置き、吸気は自然にまかせれば良いとしていることなのです。
のみならず、西洋の神秘家のあるグループは、東洋の呼吸法を、「もったいぶった複雑な技術」であり、その手法自体、実効面からいって、ほとんど無意味であるときめつけているのに対し、東洋の養生的医学を提唱する人たちは、強い吸気を用いる西洋のその手法に対して「危険きわまりない方法」である、と警告を発している状態なのです。

たしかに、東洋のそれは、神仏術などと唱えるグル—プによって説かれるものの多くは、呼吸によって仙人になれるというようなことをいう、いわゆる荒唐無稽なものもあるのですが、しかし、禅やヨガを通じて長年体験的にその効果を確かめられた、まじめな呼吸法もあるのです。

純粋クンバカ(保息)

クンバカとは、水甕(クンバ)に水をいっぱい入れるように、肺いっばいに息を入れて保つことで、保息という。ヨーガの呼吸は、吸息(プーラカ)したあとクンバカ(保息)し、吐息(レーチャカ)する三つの動作から成り立っているが、クンバカがもっとも重んじられていて、プラーナーヤーマ(調気法)の主役である。

クンバカ技法のうち、代表的なクンバカを、純粋クンバカ(ケーヴァラ・クンバカ)または、たんにクンバカと呼んでいる。

方法
右手の親指で右の鼻孔を押さえ、薬指と小指で左の鼻孔を押さえる。人さし指と中指を眉間から額の中央に伸ばすとやりやすい。
密教の代表的な経典マハーニルヴァーナ・タントラなどに、クンバカの方法がつぎのように説かれている。
①吐息したあと、親指で右の鼻孔を押さえてふさぎ、
②左の鼻孔だけからゆっくりと静かに吸息する。
③息を吸い終わったら、左の鼻孔も薬指と小指で押さえて両鼻孔をふさいでクンバカ(保息)する。
このとき、あごを胸にうめるようにして、のどを引きしめるジャーランダラ・バンダを行ない、同時に肛門を引きしめて、吸い込んだ息を、ちょうど水を満々とたたえた水甕にフタをたするように出口を閉ざして保つ。これがクンバ力である。
④このあと、のどと肛門をゆるめて、親指をはずして右の鼻孔を開き、右の鼻孔だけからゆっくりと吐息する。つまり左の鼻孔から息を吸い込んで保息したあと、右の鼻孔から吐きだすわけだ。
そして、まったく同じ要領で右の鼻孔から吸息し、保息のあと左の鼻孔から吐息する。これで1回のクンバカが終わる。タントラ経典では、これを三回くり返せ、と説いている。
肉体的効果
保息することによって血中酸素がいっそう増大して、血液が浄化され、心臓の負担を軽くして休息させる。肺臓をはじめ内臓の機能を活性化する。腹筋の引きしめにより、下腹部のぜい肉をとりウェストを細くする。

精神的効果
全神経の機能をよみがえらせて精神状態を整え、意志力、自制心、決断力を強める。三昧(ザンマイ/サマディ)をめざす第一步となる技法。

[出典:「心のやすらぎのための冥想ヨーガ」佐伯和彦(新星出版社)]

[出典:唯心円成会伝法講義]

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