無能唱元

【無能唱元・伝法講義録 029】『地・水・火・風』の象徴性について

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万物は二をもつて出現した

すでにみなさんご承知のように「万物は、陰陽の二極に分かれることによって出現した」のであります。
これは換言すればfあらゆる存在は、陰陽の二極をもって表現されている」ということになります。
しかし、また万物は、その一つ一つが、陰陽の内、いずれかであると固定されているものでもないことを、私たちは知らなければなりません。
すなわちこれは「陽中にも陰があり、陰中にも陽がある」ことを示し、そのいずれかの強さは、比較によって、陽度が強いもの、また陰度が強いもの、といったぐあいに、その陰陽が区別されるものなのです。
そして又、陰は時によれば、陽に変化し、陰もまた陽に変わってしまう場合もあるのです。

「存在の二極」は、しかし、まだ原理の段階であって、それは現象化してはおりません。
それには、三番目のもの、すなわち「力」の噴出が必要なのです。これはつまり、「誕生の力」です。
そして、第四のもの、「物質の形成」が出現するのです。
これは、第四のそれにふさわしく、四つの種類によって構成され、「四大(しだい)」の名をもって呼ばれます。すなわち、「地(ち)」「水(すい)」「火(か)」「風(ふう)」の四つです。

宇宙の全物質的存在は、この四つに分類統合されます。従って、私たちが万物の有する普遍的象徴性を知るには、まず、この「四大」から手を付けなければなりません。

初めに知っておくことは、「地」「水」は陰性であり、「火」「風」は陽性である、という点です。これをまず、頭に入れておいて下さい。

地は女性であり、母であり、受動的であって、また、肉体的、感覚的でもあります。
それは、恵みの母体であり、生命の誕生を受け持つものですが、その反面、バィブルにある
「土より出でしもの、土に返る」ように、すべての死を呑み込んでしまう巨大な深淵でもあります。

①平野…平野は一般に、広大な空間に自己が一人だけ、ポツンと存在する、といった印象から、まず「心細さ」が感じられます。特に、そこに、家も人影もない場合はその印象がずっと強くなります。これは「魂のさすらい」を意味し、頼るべきものを希求している姿を現します。

②草原…平野でも、そこが緑濃い草原であれば、少々意味が違ってきます。
それは青春の輝きを現し、燃える性エネルギ—、官能的なあこがれが感じられます。
しかし、緑の色が沈んでいる場合は、満たされぬ愛欲を意味することもあります。
いずれにしても、草の多さは、若さのエネルギ—を示すものです。

③荒野…草原の反対に、それは精神的なものの希求性を示します。
これは平野の場合より、もっと強い、魂の孤独性を示し、苦行、瞑想的な境地を意味する場合があります。
一方、それは、実りなき、文字通りの荒漠さを表現することもあり、無駄あるいは困難な努力を意味することもあります。

④山…これは、平地の女性に対して、男性的な強さを示します。
しばしば、それは「偉大さ」「支配力」を現し、それに対するあこがれ、あるいは依存心が夢の当事者に感じられます。
しかし、夢の中の万物は自分の中の分身であることから考えて、この夢は、自分の中にそのような力が備わりつつあることを示しているとも考えられます。
一方、それは、厳しさ、冷たさを意味し、拒否などを示す場合もあります。
しかし、一般的には、山、それも特に高くそびえる山は、自己の霊性の昇格を意味し、内面的思索の世界に意識が働くようになったことを示しているものです。

⑤洞穴…地の中、暗く狭いこの場所は、まず、無気味なものが棲息する恐れの意味があり、一方、そこを隠れ家として、そこに逃避し、外界の危険から身を護りたいという思いが表現されることもあります。
それは、しばしば、抑圧された過去の記憶の存在を示唆することもあり、この意味で、トンネルや洞穴などは、自分の無意識層と対決している際のイメージともいえます。

⑥森林…木は一般に、心の寄りどころ、雨や強い日差しをさえぎる憩いの場所を意味し、林になると「安らぎ」「喜び」を示しますが、これも森のように木が多過ぎ、陽光をさえ切り過ぎますと悪霊、魔障の者などのすみかとなる危険な場所ともなります。
要は、夢のその時の印象にかかり、明るく楽しい雰囲気か、または暗く冷たい感じかで、その区別をするべきでしょう。

水は私たちの生命の源泉であると囘時に、それは、溺れることへの恐怖を現わすものでもあります。この創造と死を示し、無形なるものは、万物の空性の原理を表現するには最も適したものであり、それは未だ発現せざるエネルギ—であり、従って、それは無意識の世界を現わすものでもあります。
一般的にいって、水は無意識下からの、ある警告を現わしていることが多いものです。

①海…海は人類の先祖の発祥の場所であり、生命存在の母胎です。
波はくり返される形象とそのエネルギ—を現わし、水底は死の墓場でもあります。
荒れ狂う海は、強大なエネルギ—の出現を意味し、静かな海は、広大な平安の世界すなわち瞑想的な安らぎを現わします。

②川…流動変転からいって、まず、変動を現わし、また大いなる運命の力に流され、運ばれて行くことを意味します。上流へ向かうは抵抗を示します。
川はまた一つの境界線を示し、これを渡ることは、彼岸到達つまり、新生の意識を体験することです。
いずれの場合も、川には「洗い流す」の意味が強く「新生」「再生」「清浄化」「再出発」の象徴であることが非常に多いのです。

③泉…これは優しさの源泉であり、無垢の少女の愛情を示します。
それは安らぎと、再生の力を与えるものですが、反面、そこに安住してしまうと、怠惰になり、戦いの人生に戻れなくなってしまう場合もあります。

④井戸…井戸は落し穴の恐怖があり、空性の世界への出入口でもあります。
井戸の底から、高い空を見上げれば、救いへの希求、あるいは啓示を意味します。
井戸の水をくみ、あるいは飲むならば、新生の活力、あるいはインスピレ—ションを得ることを現わしています。

⑤湖と沼…湖は静かな、そして清らかな鏡で、魂の憩いを現わしますが、それは社会からの逃避、あるいは孤立を意味します。
沼は、泥や両棲類の勤物の住む無気味な場所で、危険あるいは越えなければならない障害を意味します。

火は空性の世界のエネルギ—が形象化したありさまを現わします。
それはまず「破壊」「焼きつくす」などから、「浄化」「再生」などに向かい、文明をもたらしますが、一方、過剰の情熱などによる自滅、終末などをも意味します。
火を得ることは、神へ近づくか、神的な力を得ることですが、これは一歩あやまれば、すべてを破壊してしまう悪魔の力ともなりかねないものです。

①火事…火事はダイナミックなエネルギ—の噴出を示し、物質的欲望あるいはその活力が湧き上がってきたことを示します。
ですから、この夢のあと、事業がうまく行ったり、予期しないお金が入ったりすることもあり、日本では古来「火事の夢は焼け肥り」といって吉夢とされております。
この反面、火事は「怒り」「憎しみ」「焦り」のエネルギーの噴出であることもあり、この場合は失うものが多くなります。

②たき火…これは火を囲んで睦み合う、つまり、団樂(だんらん)、心の通う仲間などを意味します。暖かさ、あるいは助け合いのための啓示であることが多いものです。

③ともし火…導き、助言、愛を示し、また、魂の力を意味するものです。
それは、直観への希求であり、生命力の保持確認でもあります。
いずれにしても、暗夜のともし火は、その人の霊性の進化、あるいはそれへの願いを象徴しております。

風とは、空気あるいは空間のことで、更にいうならば、「空性(くうしょう)」なる、つまり無意識の世界までも意味します。
したがって、それは「霊的」「不可解」「畏怖」などの感情を現わします。

①風が吹く…感情の動きを示し、強い風は千々に乱れた感情の高ぶりを意味します。
性的、あるいは芸術的な心の高揚であることもあり、破壊願望あるいは創造的意欲である場合があります。

②遠い景色…はるか遠くにある風景は、空間の広さを表現していることが多いものです。ここには、淋しさと同時に、空性力の偉大さに対する畏怖の念があります。このような時の感情は、遠い過去に対するなつかしさ、記億の甦り、などの感情から、神的力の前における謙虚な心の発露であることが多いものです。

③空(そら)…空(そら)を見上げるのは、まず、「高きものへのあこがれ」を意味し、それは、霊的なものへの近づきを現わします。
空は気象状態によって千変万化しますが、これは人間感情の変化によく例えられるものです。
したがって、空の持つ意味性は一つのものではなく、その時の「様相」によって判断されるべきものです。すなわち、色彩、雲のあり方、光のあり方、風のあり方などによって大きく変化するので、その一つ一つの場合において象徴性は判断されるべきでしよう。

以上、地水火風の四大について、その基本的象徴の意味を記しましたが、これ以上の細分化した事象については、各人の想像力を駆使して分析判断して行くより仕方がありません。
しかし、この象徴性には、随分と不思議なものがあり、例えば、五円玉の夢は「ご縁が生じた」などという、日本人だけに通ずるシャレが語呂合わせのような方法で、一つの啓示が与えられる場合さえあるのです。

まるで無意識の世界は、茶目っ気のあるいたずら者で、子供じみた謎や、シャレなどを夢の世界で、私たちに呈示するようにさえ思えることがあるものです。
これは、夢分析は、あまり学術的、あるいは心理分析的になっても、うまく行かないことを示唆しているようにも思えます。
[出典:唯心円成会伝法講義]

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