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【無能唱元・伝法講義録 042】劣者と敗者の違い

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「劣者」と「敗者」の違い

ではここで「優者と劣者」と「勝者と敗者」についての比較をしてみましょう。
この二つは、よく似た二つの状況をいい現しているのですが、それにしても、その根本のところで明らかな意味の相違があるのです。

どのような人間でも、心には「優越心」と「劣等感」の二者は同居しているものです。
これはまた、人間が社会のある時の状況をそのままに現してもおります。すなわち「人間は誰でも、他人と比較する時、自分より勝れた者と自分より劣った者の二者を有する」のであり、よくいわれるように「上を見てもきりがなく、下を見てもきりはない」という言葉がそれを示しております。この考え方をもってするならば、この世における「優者と劣者」という比較分別は多分に主観的なものであり、客観的にクラス等級分けなどは一寸できないということが理解されます。

しかしながら、これが「勝者と敗者」ということになると、意味が違ってくるのです。これは、「劣者」と「敗者」の二者を比べてみるとすぐ解ることです。簡単な例でいいますと「ただたんに貧乏であるということは、劣者ではあるが(地上の力の面のみにおいて)、貧乏のゆえに借金をするならば、敗者である」ということになります。

ここで一つ注意しておきたいのは、この借金とは、ある事業のための借入れ資金までを意味するものではないという点です。すなわち、その借金は、生産のためでなく、ただたんに消費のためのものの場合をいうのです。
お金を産み出すための資金ではなく、食料を買うとか、レジャーやリクエーションのために借金する時は、人間生活の経済面における一つの敗北を意味するのであります。

「劣者」と「敗者」の違いは、また次のようにいい現すこともできます。すなわち「劣者の問題は、その当事者個人の問題だが、敗者の問題は、何によらず他人にその弊害を及ぼすものである」と……。
そして、その弊害とは「敗者とは要するに他人の信用を失ったことである」という点において生ずるものといえましよう。

この世に、一個の社会人として暮らす時、信用は実に大切なものです。自分への信用は、いくら大切にしても、し過ぎるということはありません。そして次の点も、甚だ重要な点なのですが「人間は決して、一人では生きられない」のであります。

お金を失うことは、単なる財政的損失ですが、信用を失うことは、人的関係をそこなうことであり、それは友人知己を失い、自己を孤立化させることです。これは人生において最も重大なことであるにもかかわらず、多くの人は、無意識の内に軽視しているのです。

そして、この場合、最も重要なことは、この軽視によって失われる人的関係の相手とは、「勝者」であることが非常に多いという点です。すなわち、失うものは、敗者や劣者などの友人ではなく、自分に力を与えてくれるはずの勝者あるいは優者の友人なのです。

これがなぜ重大かというと、人間はとかく周囲の人間の持つアラヤ識の内容に影響されるからなのです。すなわち、勝者の人々の間にあれば、あなたは周囲の人々から勝者の因縁を受けつぐことになるのであります。

[出典:唯心円成会伝法講義]

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