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【無能唱元・伝法講義録 066】残留明示と刷り込用語

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催眠技法の組立て

円成会の催眠技法は、次のように組み立てられております。

説明と実技の二部に分けられ、説明は「誘導暗示法」と名づけられ、実技は四つの部分に分けられてあります。
ここで注意して頂きたいのは、催眠法に関して、一般にいわれる「暗示」という言葉は、説明の部分にしか使っていないという点です。あとの実技では、当会では「暗示」という言葉を用いていない点を確認して下さい。そこで使われているのは、「示唆」「指示」「明示」「断言」などの言葉です。これには用心深い意味があります。

「暗示」とは文字どおりに解するならば、それは『暗に示す」ということでは、伝えたいことをはっきりといわず、遠まわしにそれを表現し、いつのまにか、相手にそれをさとらせるといった話し方をいいます。
ところが催眠の実技では、そんな遠まわしのいい方をしません。
それどころか、普通の会話よりも直接的で、むしろ命令的にはっきりと「あなたは催眠に入ります」とか、「身体の力が抜けます」とか、断言するようにいうのです。これは、むしろ暗示の反対の「明示」といった方がよいでしょう。
以上の理由で、催眠実技に関しては、当会では「暗示」という言葉を使わないようにしているのであります。
暗示が必要なのは、催眠の前の部分、説明の場においてなのです。
これを「誘導暗示法」と当会が呼ぶのは、催眠についての会話をして行く内に、暗に相手に「催眠には素晴らしい価値がある」ことを示して行き、遂に相手に興味を持たせ、催眠を試みてみたくなって行くように誘導するからであります。

では、この誘導暗示法では、一体どんな話をすればよいのか、その内容について少々具体的に解説しましよう。

その内容は大別して、次の二つについて、よく説明するべきだと考えられます。

①催眠状態についての世間の誤解をとく。
②残留明示(一般には暗示という)の利益性について解説する。

一般に誤解されていることは、催眠の被術者は、あたかも夢遊病者のように、自意識を失ってしまい、施術者の命ずるままにあやつられてしまうと思っていることです。
「施術者は、この意味では覚めている」という点を強調することは、最も大切なことです。被術者は、眠ってしまうわけでも、自分の今置かれている状態が解らなくなってしまうわけでもありません。その状態は、春のあけがた、眠りから覚めてきたが、まだ目を開きたくない、という気分とよく似ております。春眠あかつきをおぼえずと申しますが、この時の、体の五官はある程度、その知覚度や反応度が制御されており、動かしたくないのです。しかし本人は「自分がベットの中にいる」という事実は知っています。

このように、催眠の場合も、自分が今どこにいて、何をしているのか知っているのです。ただし、催眠も非常に深くなると、春眠の場合と等しく、眠りと夢の世界へ入って行き、その自意識もかなり稀薄になってしまいますが…。しかし、一般的には、催眠状態では、自意識は、はっきりと目覚めてあるものです。

次に、大切なことは「残留明示」(暗示)の意義について、よく説明することです。
そもそも、催眠とは何の目的のために行なわれるのでしょうか?
それが、一種のマジックショウとして行なわれるのでないならば、その理由は明白です。それは、
「残留明示をもって、その人の深層意識に、ある矯正力を加えようとする」ものなのです。例えば、小心恐怖症の人に「あなたは、もう人前で、堂々とふるまえるようになりました」と明言すると、その記憶は心下に蓄えられ、催眠後の日常生活の上にその影響が及ぼされてくるのです。

この残留明示法により、

①内臓の弱い人は、それを強化し
②悪癖を矯正し
③頭の働きを良くし
④営業成績を上げ
⑤ストレスを除き
⑥対人関係を改善し
⑦否定的想念から解放する

等々の、大きな利益を被術者は得ることが出来ます。
つまり、催眠の目的とは、このような利益を得るための、一つの手段であって、それは決して「催眠のための催眠であってはならない」のであります。
以上述べてきたように、あなたは被術者に対して、二つの点「催眠状態と残留明示」についての諒解をとりつけ、なお、被術者に、その利益を欲するようにしむけなければなりません。
これが「誘導暗示法」なのです。この誘導暗示は、因果律で説明するならば、それは「因をつくること」に当たります。そして、この因がうまくつくれるならば、催眠という「果」は容易に生ずるのであります。
すなわち、「誘導は因、催眠は果」なのです。

大宇宙の一大原理は「因なきところに、果なし」であります。すなわち、催眠も、この因をうまくつくらない限り、それは成功するのが非常に困難となってしまうのです。
これで、あなたは、催眠技法において、もっとも重要なことは、催眠法自体よりも、その前にある誘導暗示法の会話の功拙にあることを理解されたことと思います。

刷り込み用語

残留明示を行なうことによって、被術者の心下意識には、その言葉が受け入れられ、以後の生活において、その言葉の内容が影響を及ぽすようになります。
これは、あたかも、そこへある文章をプリントするようにも考えられますので、当会は、この残留明示に用いられる言葉を特に「刷り込み用語」と呼んでおります。

さて、あなたが催眠をかけるということになったら、被術者に向って、あなたはこの刷り込み用語をどのようなものにするか、まず尋ねなければなりません。
これは非常に重要なことです。というより、このような刷り込み用語を必要としない催眠法は、殆んどの場合、行なわれるべきではないといって差しつかえないのです。
つまり、催眠は、もっぱら、被術者の矯正、それは性格、悪癖などから、運命の改善まで含めて、その催眠後により良き人生を迎えるために用いられるべきであって、興味本位の実演のために用いられるベぎではないからであります。

とはいっても、少数の例外は認められるべきです。それは、催眠法について講習をする場合と、催眠状態に入って、リラックスしたい、あるいは、催眠状態とはどんなものか、身をもって知りたいと被術者が希望した場合などです。
しかし、これら以外は、殆んどの場合、まず、残留明示をどのようなものにするか、被術者の希望をよく訊いた上で、刷り込み用語を作らねばなりません。

以上で、催眠実技に先立っての誘導暗示法についての部分は終ります。これをとりまとめてみますと、

①催眠の実態の説明
②残留明示についての説明
③刷り込み用語をきめる

の三点が行なわれなければならない、といぅことになります。
では、これから、いよいよ催眠実技に入るのですが、その前に、催眠状態の進行度といぅものについて、まず知っておかねばなりません。

[出典:唯心円成会伝法講義]

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