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【無能唱元・伝法講義録 067】催眠深度

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催眠深度について

催眠に入ると、身体の五官感覚の外部からの刺戟に対する反応度が鈍ってきます。これは睡眠の場合と同様です。
それは一種の麻痺状態といってもよいのですが、この状態の深さによって、その催眠の進行度を知ることが出来ます。
これは外部的進行度ですが、これに平行して内部的進行度というものが考えられます。それは、_意識のあり方です。この自意識とは「自分は今どこにいて、何をしているか」ということを知覚している意識のことです。
この自意識は前述しましたが、それは睡眠と違って、殆んど失われてしまうことはありません。
すなわち、被術者は、自分は今、催眠にかかっていることを知っているのです。
この内外の催眠深度は、当会では、第一次、第二次、第三次の三段階に分け、それぞれの段階でも、浅いと深いの二段階に分けてありますが、これについては、次の一覧表を参考にしてみて下さい。

第一次の浅い場合では「あなたは催眠に入りました」という導入宣言で、入った段階ですが、ここでは「眼を閉じて下さい」あるいは「眼が自然に閉じてきます」といわれても、それは、眼を閉じることに同意したまでであり、また「身体中の力が抜け、ぐったりとします」といわれても、同じく、それも、そのように意志的にそうふるまった要素がかなり強いのです。
この場合、自意識は、はっきりしており、自分の置かれている立場を明確に認識しております。
そして、目を開けようと思えばすぐ開けられ、覚醒へと戻ることができるという感じがあります。
しかし、これも少々深まると、手足に気だるい感じが生じ始めます。自意識は依然としてはっきりとありますし、覚醒へ戻りたければ自力で戻ることも容易にできます。だが、催眠に対して、それほど気にならなくなっております。

第二次段階に入ると、手足の麻痺は進み、覚醒に戻れると思ってはいるが、戻りたくないという気分が強くなります。また、自分の現在行なわれている状態も殆んど気にならなくなってきています。これが更に深まってくると、感覚の制御は強まり、もう自分では戻れなくなります。また、自分の状態については、殆んど気にしない、というより、もうどうでもよい感晴になってきます。

第三次段階に入ると、これが世間一般に信じられている催眠状態になり、被術者は夢遊病者的な動きを示すようになります。
しかし、この場合も、完全に自意識を失ったのではありません。ただ、そのようなことに無関心になっているだけです。
この段階に入れば「催眠がさめると、あなたはこの催眠中のことを忘れてしまいます」という、忘却の明示を行ないますと、被術者はそれを忘れてしまいます。
また、催眠指示が非常に有効に受け入れられ、鳥になったといえば空を飛び、魚になったといえば水中を泳ぐ真似をします。
このような真似は、第二次段階でも可能ですが、この場合は多分に施術者に対する協力意識(ラポール)が強く、わりにさめた意識で、催眠指示に従っているのです。これが第三段階に入ると、本当に、鳥や魚になったような感情移入がぐっと強くなります。

このような催眠指示の後、残留明示を行なうと非常に有効です。
特に小心恐怖、不眠症、学力停滞、またぜんそく、胃弱などの心因性要素の強い病気を治すには好適な方法といえます。
勿論、この残留明示は、これよりもっと浅い催眠段階でも効きますが、できれば、この第三段階まで入ってから、行なわれるのが、望ましいのです。
では、終りにあたって、次の引用文を参考としてみて下さい。

催眠の深さは、人によって一様でなく、すぐに深い催眠状態に入る人もあれば、どうしてもある程度以上に進まぬ人もあります。催眠の深さを測定するのには、いろいろの標準がありますが、その催眠状態で、どういう現象が起きるかを標準とするのがふつうです。催眠を深さの順に並べると次のとおりです。

第一期:運動支配の時期
第二期:知覚支配の時期
第三期:記憶支配の時期

運動支配の時期は、二つに分かれて、観念運動の起きる時期と、筋肉運動の支配される時期になります。腕の上下、または手の開閉などの観念運動の起きる時期は、普通の精神状態から催眠状態への移行期とも見られ、もっとも浅い催眠状態です。
暗示に誘発されて観念運動が起きると、いわゆる等質性亢進で、その動きがだんだん活発になってきますから、暗示の種類を変えて、たとえば、手が膝にくっついて離れないとか、瞼が開かないというような運動禁示の暗示を与えます。これに感じるようであれば、暗示の異質性亢進がみられたわけで、筋肉運動の支配される時期にはいったことになります。

知覚支配の時期に入れば、まず触覚が支配されて、その過敏、脱失、錯誤などが起きるようになります。味覚、嗅覚がこれにつづき、最後に視覚、聴覚という順序がふつうです。しかし、この順序には個人差があって、幻視がさかんに起きているのに、錯味が起きないという人もあります。

記憶支配の時期にはいったかどうかは、まず記憶喪失から試験してみます。年齢、名前などをねて、思いだせないようであれば、次は記憶亢進をテストします。ここまでくれば、先に述べた後催眠暗示が効力を発揮します。記憶が支配されるようになると、たいていは年齢退行もできるものです。もっとも深い催眠状態は人格変換ですが、この状態に達しうる人は、そう多くはありません。
私の実験では約二〇パーセントの人がこの程度に達しました。

イギリスの医的催眠学会長A・P・マゴネット博士によれば、一般的に承認されている比率は、

かからない人:五パーセント
軽度の人  :三五パーセント
中等度の人 :三五パーセント
深くかかる人:二五パーセント

だということです。(注意を要するのは、すぐにかかっても、ある程度以上には深くならない人もあることです。ここで述べるのは催眠深度の問題です。)

いま述べたのは催眠深度の順序であるとともに、催眠誘導の順序でもあります。この順序で誘導してゆくうちに被験者は、しだいに深い催眠状態へさそいこまれるのです。

[出典:「催眠術入門―あなたも心理操縦ができる」藤本正雄著、光文社刊(カッパブックス)]

[出典:唯心円成会伝法講義]

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