では次に、この反対現象について考えてみましょう。
動物が強い不安情動に襲われると、血液中に乳酸塩粒子が発生し、血液自体は酸性に傾き、生体は、有害な微菌などに対する抵抗力は弱められてしまいます。
私たちは、血液は弱アルカリ性であるのが、健康にとって好ましい状態であることを知っており、生野菜などのアルカリ食をせっせと食べる人がおりますが、案外に、心の方のコントロールについては無関心な人が多いものです。
有害なる物質とは、なにもこの乳酸塩粒子一つによるものではありません。
また有益な物質とは、前記のエンドルフィンーつに限られるものではありません。
身体と精神の間には、人間の健康保持に深くかかわるさまざまな生化学的なつながりがあり、エンドルフィンは、そのつながりのごく一部をなすにすぎません。
以上をとりまとめると、これは次のように説明すると一番理解しやすいでしょう。
私たちの頭脳の中には、二つの水道の蛇口があり、その一つは「肯定の蛇口」であり、他の一つは「否定の蛇口」なのです。
そして、意識が肯定的、つまり「すべてを善しと見ている状態」では、この肯定の蛇口の栓が開けられ、苦痛を癒し、心に幸福感をもたらす液体が体内に放出されるのです。そして、その反対に、否定的情念の内に、自分の意識状態を放置していると、否定の蛇口の栓は開けられ、体内の疾患部の苦痛を増やし、不安、不幸感を助長する液体が放出されるのであります。
ここで注意して頂きたいのは、この二つの蛇口の栓をひねるのは、実は自分自身であって、他のだれの手によるものではない、という点です。
ところが世の多くの人は、それをとかく、自分以外の他のものに責任を転嫁しようとするのです。
例えば、環境のせいにしたり、親のせいにしたり、先祖の因縁のせいにしたり、霊障のせいにしたりして、自分の不運や病気の理由を合理化して、自他に納得させようとするのですが、これは大きな誤りです。
[出典:唯心円成会伝法講義]