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【無能唱元・伝法講義録 088】フィルターもれ

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フィルターもれ

肉体細胞の中には、巨大な空間があります。
これは、殆どあらゆる物質がそうであるように、細胞も原子をもって構成され、原子は原子核とその周囲との間には、恒星と惑星の関係にも似た大空間があるからです。

さて、この原子の中には、空間の歪みが起こす遠心力と、物質自体の起こす求心力によって、それぞれある一定したリズムを持つ波動が生じています。
そこへ、外部からの、ある波動が入ってきますと、その外部波動と内部波動は共振現象をおこします。

これを一応、「外部からの情報受けとり」として考えてみます。
そして、外部からの波動を「気」と名づけ、内部の波動を「魂(こん)」と名づけてみるのです。
気魂は同化して、ある働きを体内に生じさせます。つまり、それは「生体エネルギー」と呼ばれるものです。

しかし、気、すなわち外部からの波動は、そのすべてが、情報となって、その生体に知覚されるものではありません。
私たちの五官的知覚は、ある意味では、フルイの役目を果たしているのです。

例えば、聴覚は、約二十サイクルから、一万六干サイクルまでの波動を捕らえ、それを音として感じとって居るのですが、この周波数の範囲外にある波動はキャッチし得ません。
この聴覚のように、光波つまり視覚にも、ある周波数の範囲があり、味覚、臭覚、触覚もそうであり、つまり、五官とは、ある一部の波動範囲に限定された波動のみを通過させる検波器官であるともいえるのです。

これは、すなわち、外来の波動に対する一種の関所であり、また、フィルターの役目をしているものです。そして、そこを通過しない外来の波動は無数にあるのです。
情報とは、この五つのフィルターを通って頭脳に達し、そこで、音や光、匂いなどに翻訳されたものなのです。

では、このフィルターで、ストップをかけられた他の波動はどうなるのか?といいますと、その波動もやはり、肉体細胞にはキャッチされており、気と魂の同化作用は起きているのです。
ただ、それは、頭脳で情報としての形成はされませんので、私たちは、その存在を受け入れていないだけなのです。

ところで、このフィルターのどれかがその機能の調子が少し、変調をきたしたと考えてみましょう。
そうすると、今までストップされていた、気魂の共作用のうち、幾つかが、そこを通過して頭脳へ行ってしまうでしょう。これが、つまり、「幻覚」や「幻聴」なのです。

しかし、この五つのフィルターのどれかが、現在の人類の平均的能力を上廻って、更にもう一歩進化したとしたならば、そのフィルターの制御の幅が、もう少し大きく拡大されることも考えられます。

すると、今まで、見えなかったもの、聴えなかったもの、それはつまり、他の振動波ですが、それも感知されてきます。これが、すなわち、世にいわれる、テレパシーなどの「能力」と呼ばれるものなのです。いずれにしても、これらの非日常的な情報を知覚するのは、一種の「フィルタもれ」と考えられます。では、これについて次の引用文を参考としてみて下さい。

フランスの哲学者アンリ・ベルクソンは、脊椎動物の脳の一部はフィルターとして発達し、意識を無意味な外的刺激から守る防壁の役割を負っている、と今世紀初めに発表した。数年後に、ロンドンで心霊学協会の会長挨拶の際に、生物学的に無意味な外的刺激には他人からのテレパシー通信や無機的物体から来る透視情報が含まれると講演したのである。ベルグソンが推定したフィルターが実際に発見されたのは半世紀も後のことだった。米国のノースウェスタン大学のふたりの生理学者が、ネコの脳幹に電気刺激を与えると、頭を柔かく撫でられたようにさわやかに目覚めることがわかった。彼らは脳幹のその部位を網状活化系と呼び、思考である皮質全体に警告や覚醒信号を送る見張り役のようなものだと結論した。人間の脳では小指くらいの大きさのこの部位は非常に古くから存在するもので、脳のより高度に発達した部分と複雑な二方向通信を行なっていることが最近になって判明した。見張り役は身体の内外の感覚を促進・抑制し、覚醒、などをする。ベルグソンが考えたとおりのものだったのである。まず、われわれにとって無意味な無作為のテレパシー通信に対する防御前線であり、同時にサイコキネシス(念力)反応などを起こすかもしれない運動衝動の無駄なものに対してさえ機能していると思われる。

[出典:生命潮流/ライアル・ワトソン著、工作舎刊]

ここでいう「脳幹」つまり頭脳の芯にあたる部分は網状の一種のフィルターの役目をして、身体との二方向に、どんな刺戟を送るべきか、ストップさせるべきかの作業を行なっている、というのです。これらの意見は、非常に科学的な見方であると思われるのですが、実は、神秘学の部門でも、これについては、「原子楯」という理論があり、これも甚だ興味ある考え方だと思われるのです。

アストラル体のチャクラとエーテル体のチャクラとの間には、非常に密接な関係があることはすでに見てきた通りであるが、この両者の一連の中枢相互間には、説明しにくいある方法で、互い浸透しあっている網、または楯状のものがある。それは一重(一層)物質原子群によって構成されているが、この原子群は強く織り込められ、圧縮され、特殊のプラーナがその中に浸透している。普通はアストラル体から物質(肉体)に入るプラーナはこの原子の遮蔽物を全く自由に通過できるのであるが、両界層の原子質料を使用することのできない他の力に対しては、この遮蔽物は絶対不可侵の障壁である。したがってこの障壁は、時機がまだ熟していないのに、アストラル界層(いわゆる霊界―訳)者と物質界(いわゆる現世)との間の交通が勝手に開かれるのを防ぐ自然の計らいといえよう。もしそういうことがなければ、アストラル界層での体験が一切合財肉体の中に入り込み、普通の人にとってはただ害を受けるばかりである。この遮蔽物がなければ、いつ何時アストラル界層の住人がある種の力を流し込むか分からず、そのような力を普通の人は全く予期していないために、それに抵抗することなど到底できるものではなく、とどのつまりはそれに取り憑かれてしまう破目になる。したがってこの原子遮蔽物はこういう望ましからざる出来事に対する有効なる譲りとなり、同時にまた、睡眠中にアストラル界層で体験した行為が、肉体の脳の意識に記憶としてはっきり思い浮かべられるのを、普通の条件の下では、防ぐことにもなる。また、人の臨終の際一時的に意識がなくなる原因もここにある。時には、たとえば中にいったん肉体より離脱したアストラル体がエーテル複体と肉体とに戻る時に、アストラル界層での体験を印象づけるのに成功して、わずかなから鮮やかな記憶が蘇える場合もある。しかし、それも普通はすぐ消えてしまうもので、もう一度憶い出そうと努力するとかえって憶い出せなくなるものである。それは、憶い出そうと努力すれば肉体の脳に波動をひきおこし、それがともすれば一層精妙なアストラル界の波動を打ち消しがちになるからである。

この遮蔽物に何かの障害でもおきれば、重大な災が生ずることは、以上の説明によっても明らかである。そのような障害はいろいろな原因でおきるが、たとえば重大なショックを受けたり、性質の悪い強烈な感情を起こすと、アストラル体に一種の破裂が生じ、前述の微妙な網を引き裂いて、発狂に至らすこともある。ひどく驚いたり、怒りを爆発させたりする場合も同様である。

心霊主義者の、いわゆる霊能開発のためと称する静坐も、この網に傷をつけ、自然が閉鎖しつづけているドアーをいっぺんに全開する結果になる場合もある。

ある種の薬剤、特にアルコールおよび煙草を始めとする麻酔剤一切は、分解すると蒸発する性質のものを含有しており、その中には物質状態よりアストラル状態に移行するものがある。栄養学、特に毒物を学んでいる人達には、茶やコーヒーでさえ前述の種類の成分を含んでいることは大きな関心事であろう。もっともその含有量は非常に少ないので、長期にわたって濫用して初めてその影響が表われる。影響が表われ出すと、その成分がチャクラの中をあらゆる方向に走り抜け、それをくり返しているうちに遂に微妙な網が破壊されてしまうのである。

以上、二つの引用文でも解るとおり、日常の私たちの意識活動は、不用と思われる外来波動をストップし、その防御壁の中で、日常的世界を構築し、そこに住んでいるのです。
しかし、ここでいう防御壁とは、それは日常的思考の安全性を守るという重大な役割りの反面、私たち人間の霊的進化向上をさまたげている壁であることも事実です。

当会の根本的思想理念は、「人世における真の目的は、その霊的向上にある」という点にこそあります。

とすれば、当会の学徒は、自分の内にある霊的な力に目覚め、それを把握し、それを自己の向上のために、いかにして活用して行くかを考慮することは重大な使命であります。

すなわち、私たちは、意識的に、フィルター枠の拡大をはかっているのです。
しかし、その方法と手段は、常に安全で、段階的に無理なく進もうとしているのであります。
いずれにしても、当会の学徒が是非ともわきまえていなければならないことは「霊主体従(れいしゅたいじゅう)」の考え方です。すなわち、霊が主人で、肉体はその従者です。
フィルターの網目が拡大し、今まで以上の超常的な感覚を体験する時、多くの場合、快感がそこにともないます。

この時、私たちは、無への回帰願望に、ともすれば、とりつかれそうになるのですが、断じて、これを排除し、自らの陽気をかき立て、より高き何ものかにあこがれて、更に偉大な境地へと飛翔をつづけて行かなければならないのであります。
[出典:唯心円成会伝法講義]

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