生産性をあげたいのなら重要なことだけに集中せよ!
大事なことにフォーカスせよ!
まず問題を見極めろ!仮説を立てろ!ストーリーを構築しろ!
世の中で問題かもしれないと思われているもののなかで、今この瞬間に解を出すべき問題というのは100個のうち2、3個だと著者は語る。
解くべき問題を見極め(イシュー度を高める)
そして解の質を上げていく(仮説ドリブン→アウトプットドリブン→メッセージドリブン)。
生産性の高い人というのは、一つ一つの作業が普通の人の10倍20倍早いわけではない。
物事の本質を掴むのが上手いのだ。
本当に必要なことだけに集中している。
その本質をこの本ではイシューと呼んでいる。
世の中で問題と思われているもののうち本当に解く価値のある問題は全体の1%だけだ。
それに集中しよう!
また、そんなに興味がないことに時間を費やすには、人生はあまりにも短い。
自分が一番大切にしていることのみに集中しよう。
問題(イシュー)にすぐ取り掛かるな!まず問題(イシュー)を見極めろ!
問題に取り組むときまず解こうとするのが普通だが、それは絶対にだめだ。
解くことよりも問題を見極めることに全力を費やすのが大事だ。
仕事においても人生においてもまず本質(イシュー)を見つけ、本気で取り組むべきたった一つの目標(問い)を定めること。
それが定まる前に問題を解き始めても無駄な時間を費やすだけだ。
一生懸命うさぎ跳びをしたところでイチロー選手にはなれない。
一番重要な問題だけに集中し、正しい努力を正しい方向に向けることが大事だ。
会社でよく聞く、根性論とか気合いとかそういうのはもうやめよう。
死ぬ気で営業しても、本質が分かってないと無駄になる。
ある飲料ブランドが長期的に低迷しており、全社で立て直しを検討しているとする。ここでよくあるイシューは「〈今のブランドで戦い続けるべきか〉もしくは〈新ブランドにリニューアルすべきか〉」というものだ。
だが、この場合、まずはっきりさせるべきはブランドの低迷要因だろう。「〈市場・セグメントそのものが縮小している〉のか〈競合との競争に負けている〉のか」がわからないと、そもそも「〈ブランドの方向性の修正〉がイシューなのか」という判断がつかない。
与えられた問題を解く力より、そもそも何を問題とするかを見極める「イシューを設定する力」の方が100倍大事。
イシューを設定すれば、なんでもいいってわけではありません。
ダメイシューの条件 →①スタンスが曖昧 ②常識的過ぎる
良いイシューを設定するためには? →一次情報を仕入れる
「考えるための材料」を入手する
「よいイシューとは何か」と「(強引にでも)仮説を立てることの重要性」がわかったところで、次にそれを発見するための「材料」をどのように仕入れるか、情報収集のコツのようなものはあるのだろうか。
第一のコツは、「一次情報」に触れることだ。一次情報というのは、誰のフィルターも通っていない情報のことで、具体的には、モノづくりの場合は生産ライン、商品開発の場合は商品が使われている現場に出向く、データの場合は加工されていない生データに触れるということだ。現場で何が起こっているのかを見て、肌で感じない限り理解できないことは多い。よって、数日間は集中的に一次情報に触れることをお薦めしたい。
第二のコツは、一次情報から得た感覚をもちつつ、世の中の常識・基本的なことをある程度の固まりとしてダブりもモレもなく、そして素早くスキャンする(調べる)ことだ。通常、ビジネスでの事業環境を検討する場合であれば、①業界内部における競争関係、②新規参入者、③代替品、④事業の下流(顧客・買い手)、⑤事業の上流(サプライヤー・供給企業)、⑥技術・イノベーション、⑦法制・規制の7つのひろがりについて、それぞれの数字、問題意識、考え方のフレームワークをスキャンすればよいだろう。
第三のコツは、意図的にざっくりとやる、つまり「やり過ぎない」ということだ。情報収集にかけた努力・手間とその結果得られる情報量にはあるところまでは正の相関があるが、そこを過ぎると途端に新しい取り込みのスピードが鈍ってくる。これが「集め過ぎ」だ。「知り過ぎ」はもっと深刻な問題だ。ある量を超すと急速に生み出される知恵が減り、もっとも大切な「自分ならではの観点」がゼロに近づいていくのだ。仮説ドリブンイシューを分解する
多くの場合、イシューは大きな問いなので、いきなり答えを出すことは難しい。そのため、おおもとのイシューを「答えの出せるサイズ」まで分解していく。分解したイシューを「サブイシュー」という。
イシューを分解するときは「ダブりもモレもなく」砕くこと、そして「本質的に意味のある固まりで」砕くことが大切だ。例えば、「新規事業コンセプトの有望なアイデアを検討する」というプロジェクトの場合、「事業コンセプト」自体が非常に大きな概念なので、このまま仮説を出してイシューを磨こうとしてもあいまいな仮説しかたてられない。
「事業コンセプトとは何か」と言うと、さまざまな考え方があると思うが、ひとつの考え方として、狙うべき市場ニーズ、事業モデルに分解することができるだろう。前者はどのような市場の固まり・ニーズを狙うのか、後者はどのような事業の仕組みで価値提供を行い、事業を継続的に成り立たせるのかといったことがサブイシューとなる。
「ダブりもモレもなく」という考えのことをMECEという。そして、この考え方を生かした汎用性の高い「考え方の枠組み」のことをフレームワークと呼んでいる。フレームワークは、イシュー見極めの場面では網羅的な情報収集に役立ち、イシュー分解の場面では汎用性をもった「イシューを砕く型」としてつかうことができる。
ただし、危険なのは、目の前のイシューを無理やりそのフレームにはめ込んで本質的なポイントを見失ってしまう、あるいは自分なりの洞察や視点を生かせなくなってしまうことだ。「カナヅチをもっていればすべてのものがクギに見える」という状況になってしまっては本末転倒であり、このような状態になるくらいならフレームワークなど知らないほうがよい。
ストーリーラインを組み立てる
イシューを分解し、そのサブイシューに仮説が見えれば、自分が最終的に何を言わんとするのかが明確になる。ここまでくればあと一歩だ。
次のステップは分解したイシューに基づいて、ストーリーラインを組み立てることだ。人に何かを理解してもらおうとすれば、必ずストーリーが必要となる。それが研究であれば論文の流れであり、ビジネスであればプレゼンの流れだ。
できる限り前倒しでストーリーラインをつくると言うと、「決め打ちですか、ここでたいしたアイデアが浮かばなければ終わりということですね」という人がいる。だがこれは大きな誤解だ。ストーリーラインは検討が進み、サブイシューに答えが出るたびに、あるいは新しい気づき・洞察が得られるたびに、書き換えて磨き上げるものだ。問題を検討するすべての過程に伴走する最大の友人、それがストーリーラインなのだ。
ストーリーラインには2つの型がある。一つ目は「WHYの並び立て」、二つ目は「空・雨・傘」というものだ。前者に関してはシンプルな方法だ。最終的に言いたいメッセージについて、理由や具体的なやり方を「並列的に立てる」ことでメッセージをサポートする。「第一に、第二に、第三に、というタイプの説明」と言えば理解しやすいかもしれない。ここでも「あの論点はどうなっているんだ」と意思決定者や評価者から攻撃されることを防ぐために、重要な要素を「ダブりもモレもなく」選ぶようにする。
後者の考えは多くの人にとって馴染みやすいのではないかと思う。「西の空が良く晴れているな(空)。今の空の様子では、当面雨は降ることはなさそうだ(雨)。だとすると、今日傘を持っていく必要はない(傘)。」という流れだ。多くは、「雨」の部分で見えてきた課題の深掘りがどこまでできるかが勝負どころとなる。
ストーリーを絵コンテにする
イシューが見え、それを検証するためのストーリーラインもできれば、次は分析イメージ(個々のグラフや図表のイメージ)をデザインしていく。ここでも「分析結果が出ないと考えようがない」とは言わない。
基本はいつでも、「最終的に伝えるべきメッセージ(=イシューの仮説が証明されたもの)」を考えたとき、自分ならどういう分析結果があれば納得するか、そして相手を納得させられるかと考えることだ。そこから想定されるものをストーリーラインに沿って前倒しでつくる。
著者はこの分析イメージづくりの作業を「絵コンテ」づくりと呼んでいる。絵コンテづくりで大切な心構えは「大胆に思い切って描く」ということだ。「どんなデータが取れそうか」ではなく、「どんな結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる。ここでも「イシューからはじめる」思想で分析の設計を行うことが大切だ。「これなら取れそうだ」と思われるデータから分析を設計するのは本末転倒であり、これをやってしまうと、ここまでやってきたイシューの見極めもストーリーラインづくりもムダになってしまう。
「どんなデータがあれば、ストーリーラインの個々の仮説=サブイシューを検証できるのか」という視点で大胆にデザインする。もちろん、現実にそのデータが取れなければ意味はないが、そのデータを取ろうと思ったらどのような仕込みがいるのか、そこまでを考えることが絵コンテづくりの意味でもある。場合によっては既存の手法ではやりようがないこともあるだろうし、大胆な工夫をする必要も出るだろう。
このようにイシューの視点からデータの取り方や分析手法にストレッチ(背伸び)が生まれるのはよいサインだ。正しくイシューをベースに絵コンテづくりをしている証拠でもある。
アウトプットドリブン
いきなり飛び込まない
イシューが見え、ストーリーラインができ、それに合わせて絵コンテができれば、あとはその絵コンテを本物の分析に変えていく。
そこで大切なことは「いきなり分析や検証の活動をはじめない」ことだ。最終的に同じイシューを検証するための分析であっても、それぞれには軽重がある。もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行う。ストーリーラインと絵コンテに沿って並ぶサブイシューのなかには、必ず最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つ部分がある。そこから手を付け、粗くてもよいから、本当にそれが検証できるのかについての答えを出してしまうわけだ。
重要な部分をはじめに検証しておかないと、描いていたストーリーが根底から崩れた場合に手が付けられなくなる。ここはストーリーラインのなかで絶対に崩れてはいけない部分、あるいは崩れた瞬間にストーリーの組み換えが必要となる部分であり、具体的にはカギとなる「前提」と「洞察」の部分になるだろう。その他のバリューが同じくらいのサブイシューは早く終わるものから手を付けるのが、アウトプットを出す段階における正しい注力だ。メッセージドリブン
あいまいなものはすべて排除する
イシューに沿ったメッセージを人に力強く伝わるかたちでまとめる。これが、「メッセージドリブン」だ。仮説ドリブン、アウトプットドリブンに続く、イシューに対する解の質をグッと高める「三段ロケット」の最後にあたる。ここの踏ん張りで、同じネタでも見違えるほど力強いアウトプットになる。
検討報告の最終アウトプットは、ビジネスではプレゼンテーション、研究では論文というかたちをとることが多いだろう。これを聞き終わったとき、あるいは読み終わったとき、受け手が語り手と同じように問題意識をもち、同じように納得し、同じように興奮してくれるのが理想だ。
「イシューからはじめる」という当初から貫いてきたポリシーそのままに、「何に答えを出すのか」という意識をプレゼンの前面に満たす。シンプルに無駄をなくすことで、受け手の問題意識は高まり、理解度は大きく向上する。「本当にこれは面白い」「本当にこれは大切だ」というイシューだけがあればよい。まずは「ストーリーラインを磨き」そして「チャートを磨きこむ」必要がある。
[出典:https://www.flierinc.com/summary/18]
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目次
序章 この本の考え方―脱「犬の道」
常識を捨てる
バリューのある仕事とは何か
踏み込んではならない「犬の道」
「圧倒的に生産性の高い人」のアプローチ
根性に逃げるな
コラム:「噛みしめる」ことを大切にしよう
第1章 イシュードリブン
「解く」前に「見極める」
イシューを見極める
相談する相手をもつ
仮説を立てる
「スタンスをとる」ことが肝要
何はともあれ「言葉」にする
言葉で表現するときのポイント
よいイシューの3条件
条件1:本質的な選択肢である
条件2:深い仮説がある
条件3:答えを出せる
イシュー特定のための情報収集
考えるための材料を入手する
コツ1:一次情報に触れる
コツ2:基本情報をスキャンする
コツ3:集め過ぎない・知り過ぎない
イシュー特定の5つのアプローチ
通常のやり方ではイシューが見つからない場合
アプローチ1:変数を削る
アプローチ2:視覚化する
アプローチ3:最終形からたどる
アプローチ4:「So what?」を繰り返す
アプローチ5:極端な事例を考える
第2章 仮説ドリブン(1)
イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
イシュー分析とは何か
イシュー起点でストーリーを組み立てる
STEP 1 イシューを分解する
意味のある分解とは
「事業コンセプト」の分解
イシューを分解する「型」
型がないときには「逆算」する
イシューを分解する効用
分解してそれぞれに仮説を立てる
コラム:MECEとフレームワーク
STEP 2 ストーリーラインを組み立てる
事業コンセプトのストーリー
脚本・ネームづくりと似ている
ストーリーラインの役割
ストーリーラインの2つの型
第3章 仮説ドリブン(2)
ストーリーを絵コンテにする
絵コンテとは何か
絵コンテづくりのイメージ
STEP 1 軸を整理する
分析の本質
定量分析の3つの型
分析表現の多様さ
原因と結果から軸を考える
分析の軸を出す方法
STEP 2 イメージを具体化する
数字が入ったイメージをつくる
意味合いを表現する
STEP 3 方法を明示する
どうやってデータを取るか
コラム:知覚の特徴から見た分析の本質
第4章 アウトプットドリブン
実際の分析を進める
アウトプットを生み出すとは
いきなり飛び込まない
「答えありき」ではない
トラブルをさばく
2つのトラブル
トラブル1:ほしい数字や証明が出ない
トラブル2:自分の知識や技では埒が明かない
軽快に答えを出す
いくつもの手法をもつ
回転率とスピードを重視する
第5章 メッセージドリブン
「伝えるもの」をまとめる
「本質的」「シンプル」を実現する
一気に仕上げる
ストーリーラインを磨き込む
3つの確認プロセス
プロセス1:論理構造を確認する
プロセス2:流れを磨く
プロセス3:エレベータテストに備える
チャートを磨き込む
優れたチャートと磨き込みのコツ
コツ1:1チャート・1メッセージを徹底する
コツ2:タテとヨコの比較軸を磨く
コツ3:メッセージと分析表現を揃える
コラム:「コンプリートワーク」をしよう
おわりに
「毎日の小さな成功」からはじめよう