老子現代現場訳

【老子 第24章】企者不立~自然体でいきましょう

更新日:

企つ者は立たず、跨かる者は行かず


無理をしないで、自然にまかせよ。

無為とは、人為人知のさかしらを捨てて、あるがままに振る舞うことであり、
あるがままに振る舞って無理をしないことである。
己の本来の在り方が如何なるものであるかということに
透徹した自覚を持って、その在り方に余計なものをくっつけないこと、
捨て得る限りのものを切り捨ててゆくことである。

それは物質的な財貨を余計に持たぬことを意味するとともに、
己の心の中に自己を衒う気持ち、思い上がりや気負いなど
一切の虚栄と虚飾を切り捨ててゆくことを意味する。

名声や功業そのものは必ずしも否定されないが、
名声もおのずからにして彰れる無作為のそれであってこそ肯定され、
功業もそれを己の功業として意識する限り、
もはや功業としての価値を失うとされるのである。

大切なことは、それらがあるがままのもの、
おのずからにして成ったものであるということであり、
無理に努めた人為のさかしらであれば、
それを道の『餘食贅行』(よしょくぜいこう)― 捨てらるべき残飯・無くもがなの振る舞い ― と見るのである。

このようにあるがままに任せて無理をしない生き方、
無理をしないから息切れのしない無作為の人生態度を説く。
[福永光司]

実力もないのに背伸びしたり、しったかぶっている人は鼻持ちならない。
そういう人は嫌われるからますます人が遠ざかる、
嫌われまいとしてさらに背伸びしたり虚勢をはったりしているので、
いつも疲れた顔をしている。目つきがよくない、人相が悪い。

こういう人に何か教えようとすると、教える方も疲れる。
なぜなれば、知らないことを知らないと素直に言わないからである。
さも知ったふうなそぶりをするから、skipして次いってみようとなる。

結局、分かってないから教えたことが実行されない。
分からないなら素直に聞きゃあいいのに、素直でないんだこういう人は。

顔にツヤがなく、能面のような顔になっているから、
あこりゃ分からないんだなあ、と思って丁寧に教えてあげると、
「あ、はいはいはいはい、そうですよねそうですよね、はいはいはいはい」
と返事が余計に返ってくる。

カウンターをそっと手の中に隠して「はい」の数を数えると八回である。
「はいを八回もいいやがったな」と思いながらも、
わかってくれたようだからまあよしとしよう。

しかし、次回も同じところでもたつき、事務処理が遅々として進まない、
脂汗を流し口を半開きにして格闘する姿を見ながら、
心のなかでエールを送る。

もっと苦しめ。

そして、会社からこの余計な者を切り捨てるダンドリに入る。
余計なものは捨てられるのが自然の掟なのだ。

だから、ほっとけば腐っちまうだけの余計な者にならないためには、
飾らない自然のままの姿であればいいのだ。

背伸びしないで自然体で生きようよ。

-------------------------------------------------
【参考文献:白文/書下文/訳】
-------------------------------------------------
企者不立。跨者不行。
自見者不明。自是者不彰。
自伐者無功。自矜者不長。
其在道也。曰餘食贅行。
物或惡之。故有道者不處。
-------------------------------------------------
企つ者は立たず、跨かる者は行かず。
自ずから見す者は明らかならず、
自ずから是しとする者は彰れず、
自ずから伐る者は功無く、
自ずから矜る者は長しからず。
其の道に在けるや、余食贅行と曰う。
物或に之を悪む、故に有道者は処らず。
-------------------------------------------------
つまだつ者は立っておれず、
踏みはだかる者は歩けない。
己れを誇示すれば、その存在も明らかでなくなり、
己れを是しとすれば、その善も彰れなくなる。
己れの功を自慢すれば、その功も台なしになり、
己れをうぬぼれれば、間もなく行き詰まる。
このような不自然な行為をこそ、無為の大道においては、
食い残しの飯、無用の振舞いとよぶのだ。
誰もが常に嫌がって見むきもしないから、
有道者はそこに身をおかないのだ。

※朝日選書:老子(福永光司)より引用
-------------------------------------------------
[老子:第二十四章苦恩]
-------------------------------------------------

スポンサードリンク

スポンサードリンク

-老子現代現場訳

Copyright© 青樹謙慈|アオキケンヂ , 2019 All Rights Reserved.