老子現代現場訳

【老子 第36章】將欲歙之~ゴム風船と紙風船

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将にこれを歙めんと欲すれば、必ず固くこれを張れ


微明の道。
明らかなものを微かにして現さないこと、
聡明を蔽い隠すことの最も大切であることを解き明かす。

ひとときの情報販売でカネをつかんだ奴が何を勘違いしてか自称成功者とうぬぼれる。
いんちきな金儲け情報を販売しているような鼻の下が伸びきった、舞い上がり勘違いうぬぼれ野郎から来る迷惑メイルには……

滅入る。

プチリタイア(プチリタイヤ)だのセミリタイア(セミリタイヤ)だの、若隠居だの、若年リタイアを自慢するような奴にろくなものはいない。

リタイアしたなら、とっとと無人島でも山奥にでもいってくれ。
リタイアしたぼくは山奥(田舎)での~んびり暮らしてますなんてeメイル便りなんぞもいらん。
おまえのために電話線をひくのも勿体ない。
どうでもいいからはやくネットからもリタイアしてほしいものだ。
こんな目障りな奴らは、はやく滅んでほしいものだ。

なんていう声が一般市民からあがっているけれども、まあたしかに忌々しく苦々しいけれど、こういう輩がまたぞろでてくるのはいにしえの時代からの風物というかなんというか、大道芸くらいの余裕でみていればなんてこたあない。

思う存分やるがままに任せておくがよい。
ダラクしてノびきったセイシンと鼻の下は、ほおっとけばいつしか空気の抜けた風船のようにちぢこまるんだから。

風船の本来の姿は空気の抜けたあのぶらぶらだらだらした状態。
空気を入れてぱんぱんに張っているからデコレーションにも利用できる。
ぱんぱんに張っていれば見栄えもよいから用いられる、ただそれだけの事。

ひとときのカネをつかんでちやほやされると、天下をとったような気分になる、世界征服も夢じゃない、いや宇宙の大王として君臨する日も近い、なんてことをマジで考えるようになる。

傍からみるとジョークのようだが笑ってはいけない。
逆ギレされるから。

本気度が違う。
本気で大気圏を生身で突破しようとするのだ。

常人にとっては既知の外。
魚は、水があってこそ生きて自由に動き回れるけれども、今度は陸を征服しようなんて思って水から飛びでたら干乾びてしまうだけ。

人も、命あってのものだね。
空気があって水があって大地があるから、生きていける。

成功者も金持ちもエライ人も、空気があって水があって大地があってこそ、そして周りに人がいたからこそ功成り名を遂げたわけで、さるがイモ洗いを覚えた無人島でさると戯れていただけでは誰も認めてはくれないのだ。

己れがいったん拡大し肥大してしまった者というのは、伸び切ったラーメンのようである。

こういった、上へ上へ、伸びようと伸びよう、己れを拡大しよう覇者となろうとする剛強な者をコントロールするのは簡単である。

相手が剛であればあるほど効果が高い。それはこちらが、ことさら柔弱になればいいのである。
剛強に対してその上をいくような剛強さでツッパる必要はない。

社交の辞令でいえば、まず相手を立てるということである。

こちらが柔弱であればあるほど、相手は気を緩める。
だから競争社会のこの憂き世で人に勝つにはあえて自分を偽る梟雄者(きょうゆうもの)もいるわけだ。
腹に一物ある者は、わざと謙った態度をして気をゆるした隙に相手を打ち負かす。
たぬき。

いずれにしてもたぬきときつねの化かしあい。
右も左もまっくらやみ。

だから、明るい世界で楽しく生きる、道(タオ)の生き方をする者は自然にまかせ無理をしない。
ゴム風船より、紙風船のような生き方をする。

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【参考文献:白文/書下文/訳】
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將欲歙之。必固張之。
將欲弱之。必固強之。
將欲廢之。必固興之。
將欲奪之。必固與之。
是謂微明。
柔弱勝剛強。魚不可脱於淵。
國之利器。不可以示人。
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将(まさ)にこれを歙(ちぢ)めんと欲すれば、必ず固(しばら)くこれを張れ。
将にこれを弱めんと欲すれば、必ず固くこれを強くせよ。
将にこれを廃(はい)せんと欲すれば、必ず固くこれを興せ。
将にこれを奪わんと欲すれば、必ず固くこれに与えよ。
これを微明(びめい)と謂(い)う。
柔弱(じゅうじゃく)は剛強(ごうきょう)に勝つ。
魚は淵(ふち)より脱すべからず。
国の利器(りき)は、以(も)って人に示すべからず。
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縮めてやろうと思うときには、
しばらく羽をのばさしておくにかぎる。
弱くしてやろうと思うときには、
しばらく威張らせておくにかぎる。
廃(や)めにしてやろうと思うときには、
しばらく勢づけておくにかぎる。
取上げようと思うときには、
しばらく与えておくにかぎる。
これを底知れぬ英知という。
すべて柔弱なものは剛強なものに勝つ。
魚が淵から脱け出てはならぬように、
治国の利器は人に示してはならぬのだ。

※朝日選書:老子(福永光司)より引用
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[老子:第三十六章微明]
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