老子現代現場訳

【老子 第53章】使我介然有知~奢侈の戒め

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奢侈の戒め

人に大道を行くことの貴さ、径(こみち)を行くことの誤りなることを諭したものである。
[諸橋轍次]

大道はもとより平坦であり、そこには小細工など要しない。
政治も同じこと。淡々と行えばよく、民から厳しく取り立てて身辺を飾ることなどは、最も道から外れた行為である。
[木村英一]

タオ先生の書いた本を読み、講演会などですばらしいお話をきいてタオイズムはいいなあ、あるがままはいいなあと思うものの、はて現実に戻ってみれば、弱肉強食のこの憂き世で生きていくには、これ霞を喰ってはままならぬから、道(タオ)を実践したからとてカネにもならないタオの道を歩いていくよりも、てっとりばやく生活の友、目の前のカネをつかむにはお世辞の一つや二つをならべたて、嘘百万ドルの商品説明をしたほうがいいってこった、タオ先生の話はたしかにいい話なんだが、生存競争の戦いに勝たないことにはオマンマの喰い上げになっちまうから、あるがまま、なんてことをいえるのはカネに余裕ができてからのハナシで、今はそんな悠長なことは言ってられないから今日も過大広告のチラシまきに精を出す……

道(タオ)のすばらしさはアタマではわかっちゃいるが、大衆の多くは現実に負け、花さえも咲かぬ枯れすすき、小ざかしい道を行ってしまうものなのだ。

だからこんな短歌が詠まれてしまうのだ。

ダイエツト食品売りしデブ社長愛用するは他社商品
[アオキケンジ]

道(タオ)から外れた者は、高級官僚であろうがタコ社長であろうが身分に関係なく盗人と何ら変りはない。

さあ、そんなあなたに贈ります。
さくらと一郎、昭和枯れすすき。
聴いてください……

貧しさに負けた~♪
いいえ、世間に負けた~♪
この街も追われた~♪
いっそ綺麗に死のうか~♪


[さくらと一郎:昭和枯れすゝき]

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【参考文献:白文/書下文/訳】
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使我介然有知。行於大道。唯施是畏。
大道甚夷。而民好徑。
朝甚除。田甚蕪。倉甚虚。服文綵。
帶利劔。厭飲食。財貨有餘。
是謂盗夸。非道也哉。
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我をして介然(かいぜん)として知有らしめば、
大道(たいどう)を行くに、ただ施(ななめ)なるをこれ畏(おそ)れん。
大道は甚(はなは)だ夷(たい)らかなるも、而(しか)も民は径(こみち)を好む。
朝(ちょう)は甚だ除(きよ)められ、
田は甚だ蕪(あ)れ、倉は甚だ虚(むな)しきに、
文綵(ぶんさい)を服(ふく)し、利剣(りけん)を帯び、
飲食に厭(あ)き、財貨は余り有り。
これを盗(とう)の夸(おご)りと謂(い)う。
道に非(あら)ざるかな。
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もしもわたしが何ほどかの明知をもつとすれば、
無為なる大道を無為に歩いて、
邪路(わきみち)にそれることをこそ戒めるであろう。
無為の大道は、この上なく平坦なのに、
人々はとかく邪路にそれたがる。
朝廷では汚職が横行し、
田畑は戦乱で荒れほうだい、
倉庫はまるでからっぽだというのに、
綺麗な衣服を着かざって、
立派な劔を腰におび、
たらふくご馳走にありついて、
しこたま私財をためこんでいる。
これを盗人(ぬすっと)の栄華というのだ。
無為の大道とは似ても似つかない。

※朝日選書:老子(福永光司)より引用
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[老子:第五十三章益證]
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