老子現代現場訳

【老子 第70章】吾言甚易知~老子も愚痴る(グッチ裕三編)

更新日:

わが言は甚だ知り易く

ボロは着てても心の錦、どんな花よりきれいだぜ♪

褐を被て玉を懐く。(かつをきてたまをいだく)
錦のココロで襤褸(ぼろ)を着る。
己の賢知をあらわさぬ謙徳をたたえる。

老子も愚痴る(グッチ裕三編)

儂(わし)の云うことはシンプルでかんたんで、そしてすぐに実践できるものなのに、ああそれなのにそれなのに。
それを理解できるものがおらず、また実践するものもおらん。

なんてこった。

でも仕方がないんだなあ。
キレイごとで憂き世は渡れないからのう。
儂のように高貴でキレイなことばかり云っておったんではオマンマの喰い上げになるじゃろうからのう。
可哀相な衆生たちよ……

ハッ、いかんいかん。
この儂としたことが。

なんてこった。

理解者がいないのは誠に寂しいものじゃが、だからといって寂しさを人に求めて紛らわそうというのは憂き世の倣い。
衆生から理解されないといってセンチになっているようではいけんいけん。

高貴だからこそ衆生にわかるわけがないのだ。
衆生にわかってもらおうなどと思うことはない。
襤褸をまとって心は錦。

これからも『いっぽんどっこ』のままでゆこうじゃあないか。

-------------------------------------------------
【参考文献:白文/書下文/訳】
-------------------------------------------------
吾言甚易知。甚易行。天下莫能知。莫能行。
言有宗。事有君。夫唯無知。是以不我知。
知我者希。則我者貴。
是以聖人。被褐懐玉。
-------------------------------------------------
わが言は甚(はなは)だ知り易く、甚だ行ない易きも、天下能(よ)く知るもの莫(な)く、能く行なうもの莫し。
言に宗(そう)有り、事(こと)に君あり。
それ唯だ知ること無し、ここを以(も)って我れを知らず。
我れを知る者は希(まれ)なるは、則(すなわ)ち我れ貴(たっと)し。
ここを以って聖人は、褐(かつ)を被(き)て玉(ぎょく)を懐(いだ)く。
-------------------------------------------------
わたしの言葉は、とても理解しやすく、とても実行しやすいのに、
世のなかに理解できる者がなく、実行できる者がない。
言葉にはその大本になるものがあり、物事にはそれを統べるものがあるが、
いったい、それを理解する者はめったになく、
わたしにならう者はほとんどいない。
だから無為の聖人は、
粗末な衣服を身につけて、そのふところに玉を抱くのだ。

※朝日選書:老子(福永光司)より引用
-------------------------------------------------
[老子:第七十章知難]
-------------------------------------------------

スポンサードリンク

スポンサードリンク

-老子現代現場訳

Copyright© 青樹謙慈|アオキケンヂ , 2019 All Rights Reserved.