ひとりさん通信

ひとりさん通信/第七刊(2014年9月)

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ひとりさん通信 第7刊(2014年9月)

今月のひとりさんのお話

イヤな上司と、うまくやっていくコツを教えます

どんなに理不尽な上司でも、
美化して話す

今回も、大切な話があるので、ちょっと長めに話をします。
この前ね、ある人から、こんな質問があったの。
「僕はひとりさんの教えが大好きで、いろいろ勉強してきました。
でも、僕がいま働いている会社の上司の考え方と、ひとりさんの教えは、ぜんぜん違うんです。
上司に、僕の意見をぶつけてみたこともあるんですが、相手にしてもらえませんでした。
僕は会社にいると、苦しくてたまらないのですが、どうしたらいいのでしょう…」。
たぶん、ひとりさんのファンの中で、同じような思いをしている人はいっぱいいるんじやないのかな?
この世の中で、人を変えることは、絶対にできないんだよね。変えられるのは、自分だけ。どんなに理不尽な上司でも、たとえ自分の考えの方が正しかったとしても…、その上司を変えることって、できないんだよ。
「この理不尽な状況の中で、自分がどう変わっていくか」しかないんだよね。
「変わる」っていうのは、こういうことなの。例えば、「この上司はこういう性格でイヤなんです…」って言っているより、「オレの上司は立派な人なんだよ。こんなふうにしてくれて、すっごくいい人なんです!」って、周りの人に「立派な人」にして話をするんだよ。
そうやって美化して話していると、話しているうちに、「そうか、オレの上司って、けっこう、いいとこあるんだよな…」って思えてくるの。不思議なんだけど美化しているうちに、自分の上司に対する思いまで、変わってきちゃうんだよな。
相手と「波動」がかち合っていたら、
話は絶対に伝わらない

この相談をしてきた人は、「上司より、オレの考え方のほうが正しい」っていう気持ちがあるんだよね。
「あなたはまちがっていますよ」っていう、批判的な波動を出しながらしやべっても、相手は絶対に聞いてくれないよ。
たとえば、あることを言いたいとき、「これを言ったとき、相手がオレに心を開いて聞いてくれる言い方って何だろう?」って考えるの。
これは部下を注意するときも同じなんだよ。
「相手がオレに対して、惚れ惚れするような注意の仕方ってなんなんだろう?」ってよく考えてから言うの。
それから、「言うタイミング」っていうのもあるよね。
もし「言うタイミング」がなかったら、そういうときは無理に伝えようとしなくてもいい。ちゃんと言うことが胸に決まっていて、「良い言い方」まで思いついていたら…、必ず「言うタイミング」ってくるもんなんだよ。
神さまが、「いまが言うときですよ!」って、チャンスを作ってくれるんだよね。
そうやって、チャンスがくるのを待っていると、上司の方から「これについて、君ならどう思う?」って聞いてくることもあるんだよね。
とにかく、「上司はイヤな人だ…」「この部下は生意気だ…」って、お互いの波動がかち合っていたら、絶対に伝わらない。
だから、まずは「上司が信頼してくれるような波動」を、出すようにするしかないんだよ。
「正しい」と思うことこそ、
へりくだって言う

実はね、「私はこれが正しい」と思っていることこそ、へりくだって言わないとダメなの。
「先輩のやり方が正しいんですよ…。私の言っていることの方が、変な意見なんです…」って、こちらが一歩下がらないとダメ。
特に、部下が上司に「いい意見」を言うときは、へりくだらないとダメなの。
だって、上司は、自分のことを「オマエより、オレはえらいんだ!」と思っているんだよね。「えらい」と思っている人に、もっと機転の効いた、いい意見を出しちゃうと、「なに言ってるんだ。オマエみたいな若造より、オレの方がずっと経験があるんだ!」って意地になっちゃうんだよ。
そうなると、人は意地でも相手の言うことを聞かないよ。
だから相手より、3段ぐらい下がらなきやダメなの
まずは、相手の言うことを、「そうなんですね!わあ、勉強になったなあ!」って素直に聞いておく。
それで、話すチャンスが来たときに、「僕、◯◯さん(上司の名前)からいろんなことを教わって、こんなことに気付いたんです」って出だしを作って言いたいことを話す。
それで話した後も「これって◯○さんのおかげで気付けたんです。本当に感謝しているんです」ってお礼を言って、しめくくる。
そういうふうに、上司をたてて、たてて、言うんだよ。
そうすると、上司も耳を貸してくれるもんだよ。
だって、「自分のおかげ」で、部下から出てきた案なんだから…、聞かないわけないよね(笑)
むしろ、喜んで聞いてくれると思うよ。
「徳川家の人間」でも、
豊臣家に奉公したら、
豊臣家のやり方にあわせる

ひとりさんには、ひとりさんの経営哲学ってものがあるんだよね。
その経営哲学で、「まるかん」はいままでうまく行ってきたんです。
でも、よその会社には、よその会社の経営哲学ってものがあるんだよね。
例えばオレが、よその会社のやり方を見て、「こうやった方が明らかにいいだろうな…」と思っても、聞かれてもいないのに、余計な口出しはしないの。相手だって、プライドがあるんだからね。
それで、その会社の社員は、そちらの経営方針にあわせることが正しいんです。
極端なことを言うと…、たとえ「ひとりさんファン」であったとしても、「ひとりさんなら、こんなやり方はしませんよ」なんて言っちやダメ。
自分の会社の社長のやり方に、あわせることが正解なんだよ。
例えば、こういうことなんだよな。
オレが「徳川家の人間」だとするよね。それでも事情があって、豊臣家に奉公するとするじゃない。そのときは、「豊臣家のやり方」が正しいんです。まずは「豊臣家のやり方ってすごいですね!」っていって、喜んでそれに従うの。豊臣家のやり方が少しぐらい、まちがっていたっていいんです。
いちばんいけないのは、「徳川家では、そんなことはしませんでした」とか、「徳川家のやり方のほうが正しいんです」って最初に言っちゃうことなの。
だって、いまは「豊臣家の人間」なんだよね。自分のところの大将を敬って、そのやり方に従うことが正しいんだよ。
それと同じで…、そこの会社の社員になるってことは、そこの会社の「和」を乱さないことのほうが正しいんです。
秀吉は、信長のことをほめ続けた
だから信長は、秀吉の意見に
耳を傾けるようになった。

戦国時代の話になるけど…、秀吉がえらかったのは、信長のことをうんとほめていたってことなんだよね。
信長って、気性が激しいところかあって、変り者だったから、信長の下にいた人は、「親方さまって、ちょっと恐いな…」とか、「ついていけないな…」と思うところもあったと思う。
でも、秀吉だけは、信長のことをほめ続けたんだよ。「親方さまは、こういう気性だからいいんだ!」とか、「親方さまのやり方が、いちぱんすごいんだ!」ってね。
だから信長も、秀吉のことをすごくかわいがったし、秀吉の意見に耳を貸すようになったんだよ。
簡単に言うと、部下と上司が本能的に対立していたとしたら…、部下が何を言っても、上司は絶対に意見を聞かないの。
例えば、こういうことなの。昔はね、汽車が走ってくると、後ろから走っていって、パッとデッキに飛び乗ると、そのまま汽車に乗れたんです(汽車のスピードもいまよりずっとゆっくりでした)。そうやって、パッと上手に飛び乗るのがスリルがあって、ドキドキして…、みんなそれをやるのを楽しみにしていたんだよね。
その飛び乗り方にはね、コツがあるんだよ。それはね…、「汽車とおんなじ速度」で走らなきやダメなの。
汽車よりゆっくりでもダメだし、汽車より早すぎてもダメ。
「おんなじ速度」で走ったときに、パッとうまく飛び乗れるんだよ。
それと同じで、「人に意見を聞いてもらうとき」は、「相手と同じ速度」にならなきゃダメなんです。
「あなたのすばらしいところは、ここですよね」「あなたのこと、とっても尊敬しているんですよ」って言っていると、人は、「それじゃあ、この人の意見を聞いてみようかな」って思う。
「自分のいいところをわかってくれる人」の意見を聞こうと思うのが人間なんだよね。
だからね、普段から「上司のすばらしさ」をいっぱい言っていると、「コイツはオレのすばらしさをわかってくれるんだ。だったら、コイツの意見を聞いてみよう」ってなるんだよね。
「ヒゲをそるとき」も準備が必要
「話を聞いてもらうとき」も準備が必要

「相手に話を聞いてもらうとき」って、床屋がヒゲをそるときと似ているかもしれない。床屋って、相手のヒゲをそろうと思ったら、まず蒸しタオルであっためて、せっけんをよく泡立てたのをつけて、やっとヒゲをそるよね。
そして、ヒゲをそったら、最後に肌がカミソリ負けしないように、クリームまで塗ってあげて、すべて終わるんだよ。
この一連の流れを全部やって、「ヒゲをそる」ってことになるんです。
ところが、「ただヒゲさえそりゃあいいんでしょ?」って、いきなりそっちゃったら、お客さんの顔がカミソリ負けして血がふきだしちゃうかもしれないよね。
「ヒゲをそるとき」も、準備が必要なんです。
それと同じように、「話を聞いてもらうとき」にも、準備が必要なんです。
その準備が、「上司をほめる」っていうこと。
そうやってほめていると…、自分の「波動」が変わるんだよね。
「上司がニガテだ」っていう波動から、「上司を尊敬している」っていう波動に変わってくるの。
それって、上司の方でも感じるんです。
「コイツは、オレのことを信頼している波動だな」ってわかると、「これについて、おまえはどう思うかい?」って聞いてきたりする。
お互いが「信頼する波動」に変わるんだよね。
あなたがツライ気持ち、
ひとりさんもよくわかるんだよ

ひとりさんもこういう話をしながら思うんだけど…、「上司の考え方がイヤなんです」って言ってる人の気持ちもわからなくないの。
魂のこととか勉強して、自分の精神レベルが上がってくるとね…、古いやり方や常識にしばられているやり方に疑問を感じちゃうんだよね。
そういう古くて堅苦しい風潮の中で、どうやって「ひとりさんの教え」を実践していこうかって考えたときに…、「よきタネ」をまくしかないんだよね。
この世には、自分が「まいたタネ」は、絶対に自分のところに返ってくるという法則がある。
どんなにひどい状況の中でも、自分だけは「よきタネ」をまきつづける。
大変だけど、それしかないんだよ。
神さまはそれを望んで、あなたをそこに置いたんだよね。
「一緒に仕事をしていると、古臭いところとか、アラばっかり目立って見える上司の、どうやったらいいところを探そうか」ってね、やってくしかないの。
それが、あなたにとっての修行なんだよね。
あなたがツライのは、ひとりさんもわかるの。なぜかっていうと、上役とかを見ていると、「オレのほうが頭いいな…」って、わかっちゃうときがあるんだよ。
「能力で言えば、オレのほうが上なんだ」って思っちゃうことがあるんだよね。
実は、ひとりさんも、そういうことがあったんだよ。
ひとりさんが16歳で社会に出たとき、「精神的なこと」とか話をしても、誰も相手にしてくれなかった。
だけど、そういう時期を過ごしながら思っていたのは、「この誰も相手にしてくれない中で、オレはどうやって『よきタネ』をまくか」ってことなんだよね。
例えば自分の上司がバカなことを言ったときに、「なんだ、このバカ上司」って思って、そう言ったら、おしまいなんだよね。
そういう態度をとっても、おしまいなんだよね。
だって、上司は上司で、すごいがんばって、いまの地位についたんだよね。
そのことは、ちゃんと認めてあげてほしいんだよ。
上司を手玉にとって
手のひらでコロコロ転がす

特に「優秀な女性」に多いんだけど…、女性って頭が良くて、デキる人が多いんだよね。
そうすると、男の上司がバカに見えたりするんだよね。
それで上司に食ってかかるような態度をとったり、上司のことを無視したりするんだよね。
でもね、それって、「利口なやり方」じゃないんだよ。
上司のほうも、「オレはこの女性社員に嫌われているな」っていうのがわかるんだよ。
だからなおさら高圧的な態度をとってきたり、「しょせん女はダメだ」っていうような態度をとるようになるんだよ。
じゃあ、「利口なやり方って、なんですか?」って言うと…、「上司を手玉に取る」。
この「手玉に取る」って言い方が悪かったらゴメンナサイだけど…、要は、相手が嬉しくなるような言葉のひとつも言って、相手を「手のひら」の上で、コロコロコロ…って転がしちゃえばいいの(笑)
男って、基本的に女が好きなんだよ。
それで、男って、「感情の生き物」なんだよ。
女性にほめられて、嬉しくない男なんていないんだよ。「○◯さんのおかげでうまくいきました」とか、「いつも助けてくださって、ありがとうございます」とか、女性に笑顔で言われて嬉しくならない男なんていないの(笑)
よく仕事のちょっとできる女の人が、「私は男の人に媚びるようなことは言いたくないんです」って言うけれど…、それってホントに利□なやり方なのかな?
すごく悪い言い方だけど…、「バカな上司」も手玉にとれないようじゃ、ホントに利口じゃないんだよね。
あなたが笑顔で「○◯さんにお願いがあるんです」って言ったら、コロッとやられちゃって、「しょうがないなあ…」なんて言いながら、あなたが来るのを待ってるようでないと(笑)…ダメなんだよね。
それができるか、できないかなんだよ。
どんなに「優秀な女性」でも、男の上司をコロコロできないで、ぶつかってばかりだと…、いい仕事ってまわってこないよね。
これは男性でも同じことなんだよ。
だからホントに「私は頭がいい」と思っていたら、やっつけられちゃうはずなんだよね。
やっつけるって、戦ってケンカしろっていうことじゃないんだよ。
こっちの魅力で、上司を手玉に取って、コロッとやっつけちゃう…ってことなんだよな。
「真の勝者はひとりさんだ」と
周りの人が思うような
勝ち方をする

自分の「我」が強いとね、自分を変えたくないんだよね。
「私はまちがっていない。あの人の方がおかしい」ってずーっと言い張っているの。
それで人を変えようとするんだけど…、それをやってると、ものすごく苦しむんだよね。
だから、自分が変わっちゃうのが、一番早くて近道なんだよ。
最後にこれだけは言いたいんだけど…、社会に出て、「イヤなヤツ」に遭遇したときは、「ケンカの仕方」をよくよく考えなきゃいけないよ。
学生時代はイヤなヤツがいると、「オマエ、気に入らないぞ。よし勝負をつけよう!」って言って、体育館の裏とかに呼び出して、殴ったり、蹴ったりして、腕力でケンカに勝てばよかったんだよ。
でも、社会に出ると、「腕力で勝ちました」じゃ、勝ったことにならないんだよね。
なぜなら、あなたの「ケンカの仕方」を、周りの人が見ているんだよ。
周りが見ていて、あんまり人のことを手ひどくやっつけると、世間の人は「この人、ひどいことするな…」って思うんだよ。
それで、あなたに対する評判は、グッと下がってしまうんだよね。
だから、いくら能力があるからって、勝てばいいってもんじゃないの。
ときには、相手の人にゆずって、相手に「うまく勝たせてあげる」ってことも大事なんだよ。
それを見ている周りの人が、「ひとりさん、うまく勝たせてあげているな」「この人の方が、器が大きいな」って思われたほうが勝ちなんだよ。
本人同士の勝ち負けじゃないの。
周りの人が、勝ち負けを決めるんだよね。
世間の人が、「ひとりさんは負けたけど、真の勝者はひとりさんだ」って思われるような勝ち方しないとダメなんだよね。
今回は「イヤな上司とうまくやっていく方法」について話をしたけれど…、こうやって、上司を相手に修行してると、自分の「人扱い」が磨かれていくんだよ。
イヤなお客さんが来たときも、おんなじようにうまく対処できる。
プライベートで、何かトラブルが起きたときにも、おんなじようにうまく対処できるんだよね。
上司がうまく使えるようになれば、部下も上手に使えるようになるんだよね。
だから、ものすごくいい練習になるんだよ。
神さまはやっぱりあなたに、いちぱんいい環境をくれているんだよね。
今回の話は以上です。ありがとうございました。
ひとり

ひとりさんの彼女になりたい人は、
本を読みましょう(笑)

いろんな人から、「ひとりさんが彼女にしたいのは、どういう女の人ですか?」ってよく聞かれるんだけど…。
それにはね、ひとつだけ条件があるの。
オレ、「本を読まない人」ってダメなんだよ。
なんでかっていうと…、「本を読まない人」って、逢うと、いつも同じことばっかり言っているんだよね。本人は気付いていないだろうけど、会話がテレビの話だったり、芸能人の話だったり…、ずーっと同じなの。
「本を読んでない人」って、ものすごく「心のワク」がちっちゃいよ。
それに耐えられる男はいいけれど…、ひとりさんは耐えられません(笑)
だから、最低限のルールとして、「これ読みな…」ってオレが言ったら、ちゃんと読んでくる人がいいな。
本ってね、「基礎」みたいなものなんだよ。
「これ、読みな…」ってオレが本をすすめるとするよね。
それで、次に逢うときまでに、その人がそれを読んでくると、「基礎」がわかっているから、それ以上の会話ができる。
それ以上の会話ができるって、楽しいじゃない。
でも、「基礎」もない人に、何を話してもダメなんだよな。
オレ、好きな人ができると、いろんなことを教えてあげたいの。
好きな人が成長するところを見るのが大好きなの。
オレが、いろんなことを教えたくなるのは、「基礎」ができている人。
車の運転に例えると、オレが運転を教えたいのは、「免許を持っている人」なんだよ。
教習所も行ったことがなくて、基礎もわかってない人に、基礎から教えるってむずかしいじやない?
だから、ひとりさんの好きな本をすでに読んできたりして、「ひとりさんの理論ってこういうことだな…」ってある程度わかっている人がいいんだよ。
そういう人に、「それ以上のこと」を教えたいの。
いくら顔がきれいな子でも、本を読んでいない子は、会話がおもしろくない。
本を読まない女性はダメだね(笑)
そんな、ひとりさんがいまオススメする本は…「新史太閤記」(上)(下)
(著者:司馬遼太郎 新潮文庫)
 
日本史上、もっともたくみに人の心をとらえた、「人たらし」の天才、豊臣秀吉。
生まれながらの「サル面」を人間的魅力に変えて、見事な知恵で次々と名将たちを統合し、ついには天下をとってしまうお話です。
みなさんの仕事や人間関係におおいに役立つ本ですから、ぜひ7回は読んでみてくださいね。

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